コラム
双極性感情障害の治療法まとめ|副作用・費用・効果をわかりやすく解説
2025/10/10
双極性感情障害とはどのような病気か
双極性感情障害は、気分が高揚する躁状態と、気分が落ち込むうつ状態を繰り返す精神疾患です。かつては躁うつ病と呼ばれていました。躁状態では活動的になり、睡眠時間が短くても平気だと感じたり、次々とアイデアが浮かんだりします。一方でうつ状態では意欲が低下し、日常生活に支障をきたすこともあります。
この疾患は本人の性格や気の持ちようではなく、脳内の神経伝達物質のバランスが関係していると考えられています。適切な治療を継続することで、症状をコントロールしながら日常生活を送ることが期待できます。通院が難しい方でも、訪問診療という選択肢があることを知っておくと安心です。
治療の基本的な考え方
双極性感情障害の治療では、気分の波を安定させることが重要な目標となります。躁状態とうつ状態の両方に対応し、再発を予防していく長期的な視点が求められます。治療は大きく分けて薬物療法と心理社会的治療があり、これらを組み合わせて進めていくことが一般的です。
症状の程度や患者さんの生活環境によって、治療方針は個別に調整されます。急性期には症状を落ち着かせることに重点を置き、安定してきたら再発予防を中心とした維持療法へと移行していきます。外出が困難な状態の方には、医師が自宅を訪問して診察を行うことも可能です。
薬物療法の種類と特徴
双極性感情障害の薬物療法では、気分安定薬が中心的な役割を果たします。リチウムや抗てんかん薬の一部が気分安定薬として使用され、躁状態とうつ状態の両方の予防に働きかけます。これらは脳内の神経伝達を調整することで、気分の変動を穏やかにする作用があるとされています。
躁状態が強い場合には、抗精神病薬が併用されることもあります。また、うつ状態に対しては抗うつ薬が用いられる場合がありますが、躁転のリスクも考慮しながら慎重に処方されます。薬の効果が現れるまでには数週間かかることもあるため、焦らず継続することが大切です。定期的な血液検査で安全性を確認しながら治療を進めていきます。
薬物療法で注意すべき副作用
気分安定薬にはそれぞれ特有の副作用があります。リチウムでは喉の渇きや手の震え、体重増加などが生じることがあり、定期的な血中濃度の測定が必要です。抗てんかん薬では眠気やめまい、肝機能への影響が報告されています。
抗精神病薬では体重増加や代謝への影響、錐体外路症状と呼ばれる運動の異常が現れる可能性があります。副作用の程度は個人差が大きく、すべての方に同じ症状が出るわけではありません。気になる症状があれば、自己判断で服薬を中止せず、まずは主治医に相談することが重要です。訪問診療を受けている方は、自宅で気軽に医師へ伝えられる環境があります。
心理社会的治療の役割
薬物療法と並行して、心理社会的治療も重要な位置を占めます。心理教育では、病気の特性や症状のパターン、再発のサインなどについて理解を深めていきます。自分の状態を客観的に把握できるようになることで、早期の対応が可能になります。
認知行動療法では、気分や行動のパターンを見直し、ストレスへの対処法を身につけていきます。対人関係・社会リズム療法では、生活リズムを整えることに焦点を当てます。睡眠時間や食事の時間を規則正しく保つことが、気分の安定につながるとされています。心理士によるカウンセリングは、訪問やオンラインでも受けることができます。
治療にかかる費用の目安
双極性感情障害の治療費は、症状の程度や診療形態によって変わってきます。外来診療では、初診時に数千円から一万円程度、再診では数千円程度が一般的です。これに薬剤費が加わり、処方される薬の種類や量によって月に数千円から一万円以上になることもあります。
訪問診療の場合は、訪問診療料や在宅患者訪問診療料などが加算されますが、保険が適用されます。自立支援医療制度を利用すると、通院医療費の自己負担額が軽減されます。所得に応じて月額の上限が設定されるため、長期的な治療を継続しやすくなります。申請には診断書が必要ですので、担当医師にご相談ください。
治療効果が現れるまでの期間
薬物療法の効果は、すぐに実感できるものではありません。気分安定薬では効果が現れるまでに数週間から数ヶ月かかることもあります。症状が落ち着いてきたと感じても、再発予防のために服薬を継続することが推奨されます。
心理社会的治療の効果も、時間をかけて積み重ねていくものです。生活リズムの調整や考え方のパターンの見直しは、日々の実践を通じて少しずつ身についていきます。治療開始から安定した状態を維持できるまでには、半年から一年以上かかることも珍しくありません。焦らず、医師と相談しながら自分のペースで進めていくことが大切です。
日常生活で心がけたいこと
治療と並行して、日常生活での工夫も症状の安定に役立ちます。規則正しい睡眠リズムを保つことは特に大切で、就寝時刻と起床時刻をできるだけ一定に保つよう心がけます。睡眠不足は躁状態の引き金になりやすいため、注意が必要です。
アルコールやカフェインの摂取は気分に影響を与えることがあるため、適度な量にとどめることが望ましいでしょう。ストレスは症状の悪化につながる可能性があるため、自分なりのストレス発散方法を見つけておくことも有効です。ただし、過度な刺激や夜更かしを伴う活動は避けたほうが安全です。気分の変化を記録しておくと、再発のサインに気づきやすくなります。
当院での診療について
よりそうこころの在宅クリニックでは、双極性感情障害の診断から治療まで、一人ひとりの状態に合わせた医療を提供しています。精神科専門医が丁寧に問診を行い、適切な治療方針を提案いたします。薬物療法では定期的な血液検査を実施し、安全性に配慮しながら進めてまいります。
心理社会的治療にも力を入れており、心理教育や生活指導を通じて、症状の自己管理能力を高めるお手伝いをしています。心理士による訪問・オンラインカウンセリングもご利用いただけます。自立支援医療制度の申請についてもご案内いたしますので、費用面でご不安がある方もお気軽にご相談ください。
通院が難しい方には、尼崎市を拠点に大阪府・兵庫県の広いエリアで訪問診療を行っております。ご自宅にいながら、専門医による適切な診療を受けることができます。また、お忙しい方や遠方の方には、オンライン診療もご用意しています。尼崎市・大阪市・西宮市・伊丹市など近隣地域で精神科をお探しの方、双極性感情障害の症状でお悩みの方は、まずは当院へご相談ください。初診の予約はお電話またはウェブサイトから受け付けております。適切な診断と治療により、安定した生活を取り戻すことを目指してまいります。
記事監修医師

本 将昂 院長
精神保健指定医
日本専門医機構認定 精神科専門医